走るうつ病療法士

2020年にうつ病の診断を受けました。本来はうつ病も支援する作業療法士。浮き沈みしながら暮らしてます。たくさん走ります。2匹の犬と暮らしてます。

うつ病、休職中の過ごし方

 今回は、私の休職中の過ごし方をお話したいと思います。

 

 辛かった仕事を離れ、落ち着けるかと思いきやそんなことはなく、最初は体が動かない、頭が働かないことに苦しみ、その後も浮き沈みする体調に苦しめられました…

 

 自分なりに調べながら改善する方法を探りましたが、なかなか特効薬は見当たらず。むしろこれをやれば良くなる!とみんな言っているのに効果のない自分って…と落ち込むことの方が多くあったように思います。

 

 おそらく成果も人それぞれで正解はないのだと思いますが、少しでも、辛かったことは、“そんな感覚あるあるー”と思ってもらえて、良かったことは“自分とは違うけどなるほどー”などと思ってもらえたら良いなと、私の経験を書き込んでみます。

 

 

1.休職スタート:とにかく寝てる。カントリーマアムだけ食べてる。

 休職に入ってから1ヵ月程は、本当に1日中ベッドの上に寝転がっていました。前日まで仕事に通っていたのに、そんなに動かないわけないと思われるかもしれません。しかし、前日までの自分は燃料切れの車を無理やり押し進めていた感覚とでも言いましょうか…とにかく絞り出す力もなくなっていました。

 もうとにかく起きられない。かと言って、寝ているわけでもない。ただベッドに横になっているだけ。不安なので覚醒はしているけれど、体が重たくてとにかく起き上がれない。座っていられない。横になっていても体は重い。

 ひどいときはトイレに行く以外ずっとベッドに転がっていました。むしろトイレに行くのも辛くて仕方ない。

 食事も食べないといけないと思うけど、食欲は皆無。食べても吐きそう。

 結果的に食べられたのは、大好物のカントリーマアムとハッピーターンだけでした。 

 数日、妻に頼んで買ってきてもらったそれらのお菓子をトイレのついでにほおばって、処方された薬を飲んで、あとはベッドに横たわっているだけの生活を続けました。 

 寝過ぎで腰なども痛くてしかたなかったことを記憶しています。

 

2.ベッド脱出。But,何も考えられない…

 1ヵ月近く寝込んだ後は、何とか起きて過ごす時間を増やしていきましたが、起きられるからといって何ができる訳でもありません。さすがに寝てばかりで妻に申し訳ないので、皿でも洗おうと思います。しかし、頭が働きません。皿を洗うために、スポンジを濡らして、洗剤つけて…辺りで、頭が疲れてきます。手も震えて上手に動きません。皿を2回くらいなでると、体が重たくなってきて、ソファーに倒れこみます。そのまま2時間くらいは起きられません。「皿も洗えない…何もできなくなってしまった…」とただ凹みます…

 試しにテレビを点けてみますが、とにかくうるさい。情報処理が全く追いつかない。好きだったお笑いなども、展開に全くついていけません。みんな笑っているのに、自分には理解できない…さらに落ち込みます。すぐにテレビを消します。

 起きられるようになって、入ってくる情報は増えていきますが、処理できない自分に直面してへこむ…そんな日が続きました。

 

3.少し活動する:大正解のナノブロック。

 テレビや家事は自分の処理能力の低下に直面し凹むことがわかりました。しかし寝てばかりもいられない。

 この頃には主治医にも、起きられるようになったなら、とりあえずウォーキング等運動をし、太陽の光を浴びるように言われます。ネットで調べてもそのように言われます。しかし10分歩くのも辛いです。

 ただ、ここで幸運だったのは、私の自宅から徒歩10分程度の場所に大型ホームセンターがあったことです。妻も仕事が休みで、リハビリを兼ねてホームセンターまでのお散歩に付き合ってもらいました。

 ホームセンターにはハンドメイドコーナーがあり、革細工などが趣味の妻も眺めていましたが、その片隅にあったのがナノブロックやプラモデルでした。「これならそんなに頭使わないし、とりあえず座っていられるからいいんじゃない?」と妻より。考える能力を失って、こんなこともできなかったらどうしよう…と不安になった私は、とりあえず一番難易度が低く好きな動物であるクジラのブロックを購入しました。

 

 これがリハビリ的に大当たり。説明書に書いてある通りにブロックを並べるだけで、ちゃんと作業が進行していく。可愛いクジラができあがっていく。何もしないでいると、仕事を休んでいる罪悪感が沸いてくるのですが、この作業中は無心で説明書通りに工程を進められ、横になっているだけだと永遠の様に長い時間が、ブロックを組んでいると2時間くらいはあっという間でした。達成感もあり、頭は使えないけどちゃんと起きて時間を過ごすには非常に効果的なリハビリでした。

 “思考を伴わない単純作業”に手ごたえを感じたため、ブロックの難易度を徐々に上げると共に、プラモデルを作ったり、塗り絵をすることも始め、これらも『楽に頭と時間を使う』ということに効果的だったと感じてます。

 

4.漫画を読む:“読む”ことの入り口

 結局ナノブロックは4作品作り、その後はガンダム、戦闘機のプラモデルに挑戦していました。

 

 一方、気になっていたのは文章を読むことができないことでした。

 もともと本が大好きでしたが、うつ病と診断を受ける少し前から、文章を読むことに多大な労力が必要と感じるようになり、発症後長い文章は殆ど処理することができなくなっていました。単純な小説などでも、言葉の意味が瞬時に頭に入ってこず、1ページ読むのに従来の倍以上の時間がかかってしまい、能力の低下に直面し落ち込んでしまうため、本を読むことも避けていました。

 そんな中、簡単に読めて楽しめる!気づいたのは「単純&内容をほぼ覚えている漫画」でした。

 一例ですが、自分にはまったのは、あらいけいゐち先生著、「日常」でした。

 瞬間的、感覚的に笑える!学生時代に繰り返しアニメも観ていたので展開も殆ど覚えており、頭を使わなくて良かったのが、ストレスなく楽しめた要因だったと思います。

 

 たとえ漫画でも、SNSなどで、この伏線が!!と盛り上がっている作品の、内容を全く理解できないのは、やはり落ち込むのです。

 頭を使わず、くだらないギャグを繰り返し読んでくすっと笑う、これが少し元気になることに役立っていたように思います。

 

 

まとめ

一部ではありますが、自分が休職中に悩んだこと、行って少し回復のきっかけになったことを紹介しました。

私の中で、大切だったと思うことは、

  • とにかく最初は休む!
  • 軽い、本当に軽い運動。歩くだけで立派
  • 頭を使わない単純作業で時間を使う→休んでる罪悪感から目を逸らす

 

そして、考え方として大切なのは、

決して自分がバカになったとか、頭が悪くなったとかではないということ。

全て病気のせいです。一時的に脳みその働きが低下しているだけで、たぶん邪魔しているうつ病虫がよけていってくれれば、ちゃんと自分の考えとか、思考はそのまま残ってくれていると思います。悪い時期は、もとの自分はなくなってしまって、ずっとこのままだと思ってさらに自分を落ち込ませていました。

 

 まだまだ自分も、良くなったとは言えない部分がたくさん、周囲に迷惑をかけてばかりですが、そんな考えも誰かの役に立てばうれしいなーと思います。

 

 今回も、お付き合いいただきありがとうございました。

 

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