写経で煩悩を振り払う新年
毎年、お正月に帰省すると地元の初詣名所である成田山新勝寺へ初詣に行きます。
今回も、1月3日に行ってきました。
三が日なんかは大混雑のお寺ですが、午前中早めの時間に行って、昼前くらいに帰る予定でいけば、あまり人ごみに巻き込まれずにゆったりと参拝することができます。
で、最近この時の習慣にしているのが、写経道場での写経です。
もともと心に落ち着きのない私は、一時仏教や座禅に興味を持ってお寺の修行体験に行ったりもしたのですが、その時に体験したのをきっかけにたまに写経に取り組んでいます。
特に帰省した時にふらっといけるこの写経道場はお気に入りです。
〇システム
・1回2,000円(3日前までWeb予約可能)
・般若心経 なぞり書き1本勝負
・所要時間:人によるが、60分くらい?
人の多い三が日の成田山ですが、写経会場のある建物は本堂から少し離れ、比較的静かです。道具は一式そろっていて、手ぶらで参加可能です。終わった後、使った筆はそのままプレゼントしてもらえます。
指定された席に座って、簡単な手順の説明を受けたら、あとはひたすら書くのみです。
時に、私は字が下手くそです。ノートは常に汚い殴り書きで、書道など中学校の授業までで真面目に受けた覚えがありません。
書道の先生が良寛和尚のやたら隙間の多い書を取り上げて、「懐が深い」と表現していたことだけ妙に印象に残り、俺も懐は深い男になるぜ!!と、やたら隙間だらけの字を書くようになり、後に国語の先生から「汚いのに読みやすかった文字が、汚くて読みにくくなった」と一蹴される程、書への心得はかけらもありません。
しかし、ここではただなぞるのみ。軽く意味だけは勉強した般若心経を、一字一字噛み締めながらなぞります。
根本的に集中力がないため、周囲の人の様子をチラチラ見て、(わーあの人、字うまー。私より後に来たのに、もう5行も進んでるー)など、気が散りまくりです。
できるはずもないのに、自分も上手に書きたいなどという煩悩を払いながら書き上げていきます。これこそが修行なのでしょう?
最後に「願意」という自由記載欄があります。
“健康祈願”とか、“商売繁盛”とか書くらしいです。書いてもせいぜい一つか二つが正解なのでしょうが、考えれば考える程、(仕事は上手くいってお金もたくさん欲しいし、健康でもいたい。子供もそろそろほしい。マラソンで速くなりたいから、屈強な体も欲しい…でも世界は戦争も絶えないし、大きな地震もあったばかりだ…人類はみんな幸せでいてほしい…)
煩悩を払いに来たはずが、考えるだけ煩悩が沸き上がってきます。
仕方ないので、全部書くことにしました。
“健康祈願・子宝成就・金銭獲得・現状打破・世界平和”
最後には成田山ご本尊である不動明王様に手を合わせながら、写経用紙を奉納します。
煩悩にまみれた写経をお納めし、手を合わせながら、(これは、お不動様お願いしますということではなくて、今年はこのために頑張りますという決意表明ですよー。だから煩悩まみれと怒らないで下さいねー。)と、白々しい言い訳をして、写経道場を後にしました。
そんなわけで、写経を通して煩悩を振り払うどころか、数多の煩悩が沸き上がったのでしたが、自分が煩悩にまみれているということを知ることが、正しい一年へのスタートラインなのだと思う、とそれらしいまとめにして終わりたいと思います。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。