うつ病で失われるのはHPよりMPだと思う… 周囲への『元気のなさ』の伝わりにくさについて
うつで休職していた頃や、最近仕事を数日休んだ復帰後に、「走れるんだし、元気そう。もう大丈夫だよね。」などと言われることがあります。
これが自分は大変苦手です。
走ることは大好きですし、大切な気分転換であり、一種のアイデンティティとなっている部分です。しかし、体調が悪ければ走る気はおきないし、その影響で記録も大きく損ない、思った走りができずに辛い思いをすることもあります。
私ににとって(または同じような病気を抱えた人にとって)は、運動ができる『元気』と、普段の生活をハツラツと過ごせる『元気』は全く別のものであるように感じています。
このことがどうすれば伝わるだろう…と悩んだのですが、一例として思いついたのがRPGゲームなどに登場する、HPとMPという考え方です。
HPは高いがMPは低い…
某名作RPG、ファイ〇ルファンジ―などで、キャラクターの能力値として示される数字にHPとMPがあります。
HPはヒットポイント、いわゆる体力値で、敵に殴られたりすると低下して、ゼロになると死んでしまいます。ポケモンだったら気絶します。宿屋で休んだり、ポケモンセンターでお姉さんといちゃつくと回復します。
マラソンである程度体力をつけている私は、このHPの値は平均的な同年代よりは高いのではないかと思います。ただ、この数値が高くても私は気絶するように寝込みますし、宿屋で寝ても回復しないというか、ぐっすり寝られず翌日の戦闘に対して不安を抱えて旅に出ます。
次に、MPはマジックポイント、いわば精神力。魔法や特技を使うと消費されます。強力な魔法であるほど、消費するMPは大きくなります。ポケモンなら技の回数でしょうか。
私はこのMPが低いか、消費量が大きいのだと思います。
『一晩考えてきたプレゼンを唱えた!!』
→『鬼上司には効果がないみたいだ…』
絶望的です。MPは一気に底をつきます。
問題は、このMPはゼロになっても死なないことです。FFではMPを失った魔法使いは、魔法は使えないものの、一見元気で後衛から杖で敵をポコポコ叩きます。与えるダメージは微々たるもので、「あいつ使えねーな…」と仲間から思われます。ポケモンは技の回数がなくなると、「わるあがき」という技を繰り出すようになります。この技は反動で自分もダメ―ジを受けます。いずれも、心が疲れ切った時の自分を見ているようで、悲しくなります…
魔法による消費が激しいのか、結果としてMPを失った私は「わるあがき」を繰り返し、その反動で「戦闘不能」に陥っていくのだと思います。
MPがなくなっても戦えません
結論、ゲームではMPを失ったキャラクターはケロリとしていますが、きっと内心は魔法を唱える頭が働かず、戦闘に参加する意欲も沸かないけど何とかふらふらと戦列に立ち、「パーティの役に立ってないじゃん…自分なんていなくていいのかも…」と、不安で仕方なくなっているのだと思います。見た目にはわからなくても、HPゼロと変わらないくらい、さぞ辛かったことでしょう。
今後ゲームを開発される方は、MPを失ったキャラクターに対し、無理を強い続けると宿屋の布団から中々起きてこない、口数が減る、頻繁にトイレに籠って出てこなくなるなどの演出を加えてみてはいかがでしょうか。そして、そんな時はそっとしておいてあげて、一定期間宿屋でゆっくり眠れば、少しずつ復活してパーティの中で重要な役割を得られる、そんな生活を提供してあげて下さい。
子供の世代からMPを失うことの辛さを理解できるようになるかもしれません。
だいぶ脱線しましたが、結局のところどれだけ体力があるように見えても、精神的に辛くなってしまう、MP切れで動けなくなってしまうことはあると思うので、相手の背景にある色々の事情を思いながら、人に接することができるといいな、というお話でした。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!!
ランキング参加もしておりますので、宜しければクリックして頂けると嬉しいです。